パソコン作ろう!

パソコン自作の初心者さん向けに、パーツの選び方や組み立て方、パーツの情報などを発信していきたいと思います。

パソコン用パーツが品薄で値上がり傾向、社会経済の影響や半導体製造工場の操業停止など

最近、パソコンパーツの価格が高騰しています。加えて品薄なパーツも多く、パソコン自作をしようとしている方には逆風が強くなっている感じがします。

実際、インターネットの通販サイトや、パソコン関連ショップのホームページを見ても、「在庫切れ」となっている商品が多く見られます。

価格も、数ヶ月前の倍になっている商品もあります。

 

なぜ、このような状態になっているのでしょうか?パソコンパーツの品薄、高騰の理由はなんでしょうか?

 

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1.新型コロナウィルスの影響

昨年から続く新型コロナウィルスの世界的流行は、人と物の流れに大きく影響しました。

人が動かなくなり、経済活動は低迷しました。

 

当然、航空機の運航が激減し、貨物輸送に影響が発生します。すると、今まで普通に輸入されていた商品が入って来なくなります。

 

商品のみでなく、メーカーでは原材料の確保にも影響が生じて、生産量は減少しますし、そもそも経済の低下により生産計画も見直されるでしょう。

 

こうした事が、半導体不足の原因の一つとなっているようです。

 

2.アメリカ政権の影響

アメリカ大統領が交代し、バイデン大統領の政権となりました。

トランプ前政権の時、アメリカは中国に対して厳しい姿勢を取り続け、禁輸措置などの影響を受けて中国メーカーでは半導体製造装置の調達が難しくなったそうです。

 

これを受けて、各メーカーは半導体の製造委託先を台湾のメーカーに変更して対応しましたが、台湾のメーカーでは膨大な発注に対し生産が追いつかない状況になっているそうです。

 

3.半導体製造工場の稼動停止

世界の大手製造工場の稼動停止も半導体不足の大きな要因となっています。

アメリカでは寒波による電力不足で工場の稼動が停止。半導体の製造が出来なくなり供給不足となりました。

自動車業界では、減産対応しているメーカーが多数あります。

 

また国内では、宮崎と茨城の工場で火災が発生し、稼動停止となっています。復旧にはかなり時間を要するようで、特に宮崎の工場は年単位での期間が必要となる見込みのようです。

 

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以上のような、様々な要因が重なり、世界の半導体不足が起きてしまいました。

今後もしばらくはこの状況が続くと見られ、パソコン自作をしようと考えている方には、パーツの在庫と価格から目が離せない状態だと思います。

 

欲しいパーツが在庫されていたら、多少の出費は覚悟の上で、購入を決断するのが得策かも知れませんね。

 

初心者のパソコン自作講座~ PCパーツを知ろう・・・グラフィックボード

 

 

パソコンのパフォーマンスに大きな影響を与えると言えるパーツが「グラフィックボード」。

特にハイパフォーマンスなマシンを作りたければ、絶対に外せないパーツでもあります。

 

選択肢の幅も広く、非常に頭を悩ませる、グラフィックボードについて、基礎的なお話をしたいと思います。

 

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1.グラフィックボードの役目

「グラフィックボード」の役目は、「モニタに映像を映す」事です。

 

グラフィックボードには、専用のCPU(GPU)と専用のメモリが搭載されていて、マザーボードに取り付けるCPUと別に、独立して映像関係の処理を専門に行います。

このため、CPUの負荷を低減でき、映像の表示速度向上が図れます。

 

2.グラフィックボードは必ず必要か?

パソコンからの映像出力をモニタに表示させるには、映像用のインターフェースが必要です。

インターフェースには、RGB・DVI・ディスプレイポート・HDMIなどがあります。

下の写真は、HDMIとディスプレイポートの写真です。似たような形をしていますが、よ~く見ると形が異なる事が判ります。専用のケーブルを接続して使います。

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モニタ側の映像入力インターフェースと、パソコン側の出力インターフェースは原則同じものを準備します。

 

パソコン側のインターフェースは、マザーボードに実装(ボードにオンされているので、オンボードと言います)されている事が多いですが、このインターフェースを利用するには、CPUがグラフィック出力処理出来る必要があります。

 

例えば、Intel製のCPUでは、型番の末尾に「F」が付いている場合(Core i5-10400Fなど)は、CPU内蔵のグラフィック機能が使えないモデルです。このような場合は、オンボードグラフィック出力は使用出来なくなりますので、グラフィックボードが別途必要です。

 

CPU内蔵のグラフィック機能が使える場合は、オンボードグラフィック出力が使えます。

なので、グラフィックボードを使用しなくてもモニタに映像を映す事が出来ます。

 

ただし、CPUの機能とマザーボード上のメモリを、映像の処理に使用しますので、高度な映像処理を必要とするシミュレーションゲームや、動画編集などを行うと、パソコン全体の動作速度が低下するなどの影響が発生します。

 

以上を纏めると、グラフィックボードの要否は次のような判断をします。

 

  • マザーボードオンボードのグラフィック出力ポートがあるか?
  • CPUはグラフィック機能を有しているか?
  • パソコンの使用目的は、高度な映像処理を必要としていないか?

 

これらの条件を満たしている場合には、グラフィックボードを搭載する必要はないと考えます。

 

最初に設計を行う際に、パソコンの用途や使用するマザーボードなどを総合的に良く見て、グラフィックボードを搭載するかを判断しましょう。

 

3.GPUの2大メーカー

グラフィックボードは多数のメーカーから販売されておりますが、グラフィックボード用のGPUを製造しているのは、「NVIDIA」と「AMD」の2社です。

それぞれ、NVIDIA社は「GeForce」シリーズ、AMD社は「RADEON」シリーズのGPUを製造しています。

 

2021年現在では、パソコン自作初心者の方がグラフィックボードを購入するなら、どちらかと言えば「NVIDIA」のGPUを搭載する製品を選ぶ方が無難な感じです。

NVIDIA」の製品は、低価格帯から高価格帯までのラインナップが豊富で、目的に対する選択肢が多くなります。

 

では、AMDの「RADEON」シリーズは良くないかと言えば、決してそういう訳ではありません。CPUにAMD社製の「Ryzen」シリーズを使用するなら、同じメーカー製のGPUを使用する方が相性が良く、狙い通りの性能が出しやすくなることが考えられます。

 

また、同じ性能帯の製品であれば、価格がやや安いのもRADEONシリーズの特徴です。

さらに、消費電力もRADEONシリーズの方が少ない傾向があるようです。

グラフィックボードは、性能の進化とともに消費電力が上昇し、パソコンの中でも電力を消費する部類のパーツになっています。

 

このように、現在はNVIDIAの「GeForce」シリーズがややリードする感じのグラフィックボードですが、使用目的による性能差が大きく表れるパーツでもあり、一概に「どの製品が良い」と言えないのが、グラフィックボードです。

インターネット上では、いろいろなゲームと使用するグラフィックボードによる性能差を比較したレポートが多数見られます。

これらを参考にすると、良い選択ができると思います。

 

4.発売中の製品紹介

現在発売中の製品をいくつかご紹介します。

(1)NVIDIA GeForceシリーズ

NVIDIAのグラフィックボードは、ハイエンドのRTX3000シリーズから、価格の安いGTX1000シリーズなどのラインナップがあります。

 

①ローエンドクラス
MSI GeForce GTX 1650 4GT LP グラフィックスボード VD6989

MSI GeForce GTX 1650 4GT LP グラフィックスボード VD6989

  • 発売日: 2019/06/27
  • メディア: Personal Computers
 

現在ではローエンドモデルに位置するGTX1650シリーズ。VRAMも4GBと少ないですが、価格は比較的安く、最低限の性能で良い場合は充分使える製品と考えます。

 

②ミドルクラス
ASUS NVIDIA GeForce RTX 2060 搭載 デュアルファンモデル 6G DUAL-RTX2060-O6G-EVO
 

ハイスペックを要求するシミュレーションゲームなどの用途では、やや性能不足に感じられるかも知れません。

しかし、メモリも6GBとなり使い方次第では充分性能を発揮してくれるモデルと言えます。

 

③ハイエンドクラス
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity グラフィックスボード ZT-A30900D-10P VD7349
 

現在、GeForceシリーズのハイエンドに位置するRTX3000シリーズの中でも高いスペックを持つモデルです。VRAMは24GBを搭載。

ただし、価格も当然高価で30万円以上の予算は想定しておく必要があります。

 

もちろん、価格に見合うだけの充分な性能を持ち、どうしても高いスペックが必要な時はこのクラスになると思います。

 

(2)AMD RADEONシリーズ

RADEONシリーズは、高性能な6000シリーズ、コスパに優れた5000シリーズなどのラインナップがあります。

 

①ミドルエンドモデル

RX 5500 XTチップ、メモリ 8GBのミドルクラスです。

ハイエンドのような高い性能が不要な用途なら、充分なスペックを持っていると思います。

 

②ハイエンドモデル

RADEONシリーズの頂点、RX6900XTチップを搭載したハイエンドの製品です。

メモリがGeForceの3000シリーズの24GB搭載に対して、このモデルでは16GBと少なくなりますが、その分予算を抑えてハイエンドを使いたい時には強い味方になると思います。

 

5.実装時の注意

グラフィックボードを実装する際に、確認しておく注意事項をご説明します。

 

(1)補助電源コネクタがあるか

前述の通り、グラフィックボードは電力消費が大きいため、最近の製品ではほとんど「補助電源」コネクタを有しています。

パソコンに搭載している電源ユニットから、グラフィックボード用の補助電源コネクタが出ているかをよく確認しておきましょう。

ケーブルを取り外せるセパレートタイプの電源ユニットの場合でも、グラフィックボード用の補助電源を供給するケーブルがないと、グラフィックボードが正常に動作しないなどのトラブル原因になります。

 

(2)インターフェーススロットがあるか?

これは、現在発売されているマザーボードならほとんど心配ないですが、グラフィックボードはマザーボードの「PCI-Express」というスロットに挿して使用するものがほとんどです。このインターフェースがないマザーボードにはグラフィックボードを取り付けることは出来ません。

また、グラフィックボードは発熱が多く、ファンを搭載している製品が多いです。ファンがない場合でも、大きな放熱板(ヒートシンク)が付いていたりします。

このため、実装する場合にはスロット2つのスペースを占有する製品が多くなっています。このスペースがない場合にも、グラフィックボードは実装する事が出来なくなります。